幼い頃、密かに思っていたことがあります。
「何でおばちゃんになると出っ歯になるんやろう?」
この疑問は幼心にも誰にも聞くことが出来ず、ずっと不思議に思っていました。
今回はこの「歳を取ると出っ歯になってしまう」メカニズムを紐解いていきましょう。
出っ歯になってしまう原因はひとつではなく、いろんな要因が重なり合っていることが多いのですが、代表的なケースを紹介します。
①歯周病
このブログでも折に触れては出てくる歯周病ですが、歯周病は歯並びにも大きく影響を与えてしまいます。
歯周病をものすごく簡単に説明すると、歯を支える骨が失われる病気です。
年齢が高くなるにつれて罹患率が上昇し、55歳以上では55〜60%が罹患していると言われています。
歯周病が進行して歯を支えている骨が溶けると歯がグラグラとしてきます。
一般的に、磨きにくい奥歯から歯周病は進行していくことが多いので、歯周病が進むと奥歯の噛み合わせが安定しなくなってきます。
そうすると、食事の時に前歯で噛もうとします。
前歯で食事をすると、上の前歯が下の前歯により突き上げられるような力がかかり、上の前歯が前方へ押し出されます。
これが出っ歯になる原因のひとつです。
②咬耗(こうもう)
歯が少しずつすり減っていくことを咬耗といいます。
歯は非常に硬いですが、加齢とともに、少しずつ咬耗が進みます。
食いしばりや歯ぎしりにより奥歯が咬耗することによって奥歯が短くなり、上下の前歯同士がぶつかるようになります。
そして噛み合わせが不安定になり、出っ歯を助長させてしまうこととなります。
③欠損
虫歯や歯周病で奥歯を失い、入れ歯やブリッジなどでその歯を補わなかった場合も、①②と同様に前歯で噛み合わせることにより出っ歯になってしまいます。
3つの原因をあげましたがいかがでしょうか。驚きませんでしたか??
私がずっと不思議に思っていたこの疑問が解決したのは歯科に勤めてからのことで、あまりに衝撃的で、絶対に気をつけよう!と思ったことを今でも覚えているほどです。
でも!
この3つの原因は、例えば歯周病にならないために定期検診に通ったり、食いしばりの力を発散させるためにマウスピースを入れたり、歯を失った時にその部分を適切に補う治療を受けることで、ある程度は予防できることなんです。
ここまで説明してきましたが、この中にご自身にあてはまりそうなものはありませんでしたか??
一度乱れてしまった歯並びは、自然に元に戻ることはまずありません。
そういえばちょっと前歯が出てきたかも。。。と思い当たる方は、まずはご相談にお越しください。
私は全然大丈夫!と思われる場合でも、3つの原因に思い当たる節がある場合は、早めに受診されることをお勧めします。
早めの対策で出っ歯になることを防ぐ手立てがあるかもしれません。
気になるところがあるなぁと感じた方、いつでもお待ちしております(*^-^*)