カウンセリングや定期検診を受けていただいた時に、
「このままでは歯周病や虫歯で将来歯を失うことになるかもしれませんよ」とお話しすると、
「でも、インプラントにしたら一生噛めるようになるんでしょう??」とおっしゃる方がおられます。
歯を失っても、インプラントを入れたら解決するのでは?と考えておられる方に、
今一度知っていただきたいことがあります。
それが、インプラントも天然の歯と同じように歯周病の様になる可能性がある、ということです。
インプラントの周りの組織が炎症を起こすことを「インプラント周囲炎」と言います。
インプラントは人工物なので、虫歯になることはありません。
しかし、人工物であるがゆえに、炎症への抵抗力が弱く、歯周病菌に感染してしまうと
その進行速度は天然の歯と比べて10倍、20倍になると言われています。
そして、重度の歯周病で歯が抜け落ちてしまうように、重度のインプラント周囲炎まで進行してしまった場合は、
インプラントを取り除かなければいけなくなることもあります。
インプラント治療は、失った歯を補う治療の中では、入れ歯のような煩わしさもなく、
天然の歯に近いお食事もしていただける治療です。
ただし、インプラントを検討されている全ての方にインプラント周囲炎の存在を知っていただき、
周囲炎にならない口腔内の環境づくりをしていただくことが大切です。
「いつまでもしっかり噛める」ということは、天然の歯であってもインプラントであっても、
同じく継続的な努力が必要です。
インプラントを入れた、噛めるようになった、が、ゴールではありません。
せっかく時間も費用もかけて入れたインプラントが20年、30年と長く使えるように
日々のお手入れと歯科衛生士による定期的なプロフェッショナルケアが必要なのです。
ご自身のケアの方法に不安があったり、迷いのある方は、歯科衛生士にご相談ください。
どのような器具やお手入れ方法が最適であるかを考え、丁寧にレクチャーさせていただきます。